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4.「緊張感」〜叱って無気力状態からの脱出を図る〜
  無気力な子どもに緊張感を与えるにはどうすればいいか。
  それは「強烈に叱る」ことだ。
  子どもの自主性を育てるための効率的な叱り方を探る。

  教師は子どもに緊張感を与えるテクニックを身につけなければなりません。
  緊張感を与える1つの方法が強烈に叱ること。
  上手に叱られた子どもは逞しくなり、自主性が育っていきます。

自分が叱られた経験を思い出しながら叱る(2010.02.24)
    では、どのように叱ったらよいのでしょうか。いくつかポイントを挙げてみましょう。

     1  叱る目的を明確にし、叱る側が感情に流されないこと。
     2  演出効果を大切にすること。
     3  子どもが目的からそれていくことに対して心から怒りをぶつけること。
     4  緩急を付けながら叱ること。
     5  叱り方をマシンガン型(三段論法)か、大砲型(究極の選択)にするか決めておくこと。
     6  泣くまで続けること。(相手の感情に揺らぎをかける)
     7  真剣に謝罪するまで続けること。
     8  寛容さを常に忘れないこと。
     9  評価するポイントを絞りながら叱ること。
     10  叱る側は、脇役であることと権力者でないことを十分に認識しておくこと。

    最大のポイントは自分が叱られた経験を思い出すことです。
    強烈に叱るには、怒りの感情が必要です。
    でもその感情に流されると怒ったことになってしまいます。
    そこで、「今考えると、あのとき叱られたおかげでよかった」と思える自分自身の体験を頭に置きながら叱るのです。
    すると怒りの感情をコントロールして上手に叱れるようになります。
    また「これから叱る子どもは自分自身で、子供の自分が今の自分に叱られるのだ」と想像しながら叱るのもよいでしょう。
    子どもの目線で効果的な叱り方ができますし、何が悪く、これからどのようにしていけばよいのかという
    ポイントを明確に伝えることができます。

    上手に叱られた子どもたちは逞しくなります。
    この逞しさの分だけ自由にしてあげればよいのです。
    放っておいても「努力」できるようになり、勝手に育ち伸びていきます。
    すると大人が監視も押しつけもせずに任せるので、子どもはさらに自由になり、自主性が育つのです。
    形式的な教育から脱すれば、子どもたちの方から効果的な「叱り方」や「叱りどき」を教えてくれるのです。

次回、第5回(タイトル未定)は3月下旬頃を予定しています。

やる気をなくしてしまった子どもの反撃開始(2010.02.03)
    私が東京の中高一貫教育校で中学1年の担任をしていたときのことです。
    中学入試を突破したものの、燃えつき症候群にかかり、学校に「ただ来るだけ」の子どもがいました。
    成績不振もまったくお構いなし。
    小テストも一桁の得点で、追試もクリアーしません。
    1学期後半になると保身に回った教科担当者から嫌みを言われたり、怒られたりと陰湿な攻撃を受け始めました。
    タフな子でしたが、日に日に学習や責任あることからから離れていきました。
    そこで私は教科担当者に「余計なことはしないように」とクギを差すことによって、まず子どもを守りました。
    それから何度もその子と話し、修正すべきポイントを探りながら、
    必ず最後に「今度はしっかりやります。努力します」と約束させました。
    この作業が2学期後半まで繰り返されました。
    ですが、それでも変化が表れなかったので、満を持して強烈に叱りました。
    本人は、とにかくびっくりしたようです。
    少し心配でしたが、次の日、目つきが変わっていました。
    後日、母親にこう言われました。
    「あのときは帰宅するやいなや机に向かって小テストの勉強を始めました。先生に怒られたから満点を取るといって。
    本人は相当、頭にきていたみたいです。ちょこちょこ叱ってください」
    彼は約束どおり小テストに合格しました。しかも満点です。
    ホームルームで答案を渡したところ、ニコリとしながら「ありがとうございました」と教室に響くような声で言ったのです。
    いつも答案を受け取るときは伏し目がちでしたが、その日は私の目を凝視しながらやってきました。
    そして答案を受け取ると教室を飛び出して行きました。
    掃除もせずに困ったものだと思っていたら、
    「どうだ」といわんばかりに教科担当者のクラスの廊下で答案を持って仁王立ちをしていたらしいのです。
    何もかもやる気をなくしてしまった子どもの反撃開始です。
    この反撃がなかったら、たぶん彼は不登校になっていたでしょう。

 叱ることと怒ることは違う(2010.01.25)
    教師は子どもの変化を察知するための感性を磨く訓練と、「緊張感」を与えるテクニックを身につけなければなりません。
    緊張感を与える方法の1つが強烈に叱ることです。
    「教育とは褒めることで叱ってはいけない」とう人がいますが、それは現場の経験がない人か、
    問題が起きても処分することで解決してしまう人です。
    中には「7割誉めて3割叱って」と数値化してしまう滑稽な教育者もいます。
    そういう人は怒られた経験しかないのでしょう。
    怒るとは、感情にまかせて心のエネルギーを他人にぶつけることで、人格までも否定します。
    叱ることと怒ることは違います。
    叱ることの意義は危機管理能力と自己抑止力を身に付けさせることです。
    「これはしてはいけない」「これ以上は危ない」と、子どもに記憶させるのです。

    叱るには大変なエネルギーを必要とします。
    それに子どもは「怒られた」のか「叱られた」のか、すぐに区別することができません。
    たいてい「ふてくされ」「偽善的な教師に告げ口」「自分の正当性だけを親に告げる」「泣いてその場を逃げる」
    「理解した振りをして、その場を逃げる」などの反応を示します。
    ですから叱っても意味がないのでは…と自信を失うかもしれません。
    でも、よく覚えていてください。
    子供たちは心の奥底ではっきり認識しています。
    叱ってくれた人には感謝し、怒った人には憎しみを抱き、他人事のように理想論を語る教師には怒りを覚えるのです。

 期待を裏切られて次第に無気力に(2010.01.17)
    子どもたちが新しい環境に大きな「期待」を持ってやってくるのが中学校です。
    子どもたちの内面は未知の世界へ旅立とうという開拓精神にあふれています。
    しかし態度は保守的で享楽的です。
    心の内は自立心いっぱい、外は依存心いっぱいという状態です。
    多くの教師は子どもたちの外側だけを見て幼稚に扱い、形式的な自立を押しつけます。
    子どもたちは形式的な達成を味わうだけなので、「裏切られた」という思うようになります。
    「今度の環境はきっと自分を大きくしてくれる」という挑戦本能は「やっぱりだめか」という諦めに変わってしまいます。
    諦めて、形式的で「退屈」な毎日を過ごしていると安易な方向にしか進めなくなり、義務を果たす姿勢など失せ、
    要望や要求しかできない「無気力」な人間になるわけです。

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