●自立を望みながら、依存もしたい時期(2009.10.30)
中学1年生からは初々しい謙虚さを感じます。
この謙虚さは、子どもから大人へ脱皮する不安と、新たなスタート地点に立つという緊張感から生まれるのでしょう。
この時、中学1年生は教師に、ある「期待」を寄せています。
それは「今度の環境は自分を大きくしてくれる」「何かできそうな気がする」という
成長願望を後押ししてほしいという「期待」です。
それをストレートに表現するかどうかは、子どもの性格や環境によって差がありますが、
心の内ではみな「期待」に応えてほしいと叫んでいます。
ですが、この時期の子どもたちの心は、たいへん複雑。
自立を望みながら、一方で依然として依存したいとも思っています。
幼稚に見えても内心は自立心でいっぱい、しっかりした言動が見られても依存心でいっぱいという状態です。
成長ホルモンの活発化とともに本能的に発生する成長願望が自立心を支え、自己防衛本能が依存心を支えるからでしょう。
自立したいという気持ちと依存したいという気持ちが複雑に交錯し、自分が何を望んでいるのか、
わからなくなることも多いのです。 |
●親の想いが子どもの依存心と結びつく(2009.11.04)
子どもの心をより複雑にし、状況を悪化させるのが、親の想いです。 子どもの依存心を親の想いが縛り付けて、自立を妨げてしまうのです。 親の呪縛は子どもの自己防衛本能と相性が良く、子どもの自己中心性のエネルギー源となります。
そもそも親の呪縛は過去へのコンプレックス、または現状に対するコンプレックスから生じていることがほとんどです。 その場合、子どもは親の夢を実現するために生きることになります。 先日も、こんな話を聞きました。中高一貫の進学校に合格した親から学校あてにメールが来ました。 それは、その学校の今年の東大進学実績が前年度に比べて落ちたことに対する抗議でした。 メールには「うちの子は医者になりたいんです。 このような進学実績の学校では、うちの子は医学部に行けません。 貴校に失望いたしました。これなら公立に行かせた方がましです」と書いてありました。
こうした親を持つ子どもの自立は遅れます。 親の呪縛が強いほど、子どもは都合が悪くなると親を盾に使うようになります。 自立したいけれど、呪縛を盾にわがままを通したいと葛藤し、苦しみます。 ですから親に強烈な想いを寄せられている子どもは、理由もなくキレルのです。 |
●「期待」に応えるために子どもの心と契約する(2009.11.09) 教師が子どもの「期待」に応えるには、内面の自立心と外面の依存心の両方を満たしてあげなくてはなりません。 しかし、ほとんどの教師が子どもの外面だけで、内面まで入り込もうとしません。 「中学生になったのだから生徒主体で」などと無責任な自主性を押し付けていると、一時的に仲良しにはなれますが、 信頼関係を築くことはできません。 慣れた頃に不安が出始め、いつしか不満に変わります。
子どもは自立するために、身近で自分を管理してくれる教師の後押しを望んでいます。 内面を知るために、教師はコンサルタントとして子どもの心と契約を結ばなければなりません。 自立心には寛容さを持って支え、依存心には厳しさを持って接し、厳粛さと秩序を教室に送り込むことが、 子どもの心と契約するための条件であり手続きです。
これはとても厳しい契約ですが、見返りとして子どもたちの心が教師としての使命感を育ててくれます。 子どもたちが契約をしてくれたなら、教師がすべきことは感性を磨くこと、実質的に考えること、 現実を認識する力を付けることです。 具体的にいうと、子どもが一人になっても安心できる環境を教師がつくることです。
子どもたちの満足度は日々の生活でわかります。 満足している子どもは、明るい挨拶ができ、節度があり、不快処理能力が高く、生き生きしています。 子どもたちの個性の芽が吹き出し、誠実で自分らしく生きる力に溢れてくることでしょう。 |