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3.「あたり」 〜本当の自分を発見するために〜
  「あたり」とは、エゴの要求をはね返し、ありのままを受け入れる雰囲気がクラス内に漂っている状態。
  「あたり」を経験すると適応力がつき、次々に脳のネットワークが広がっていく。

 「期待」はエゴの要求(2009.12.15)
    教師がコンサルタントとしてクライアントである子どもに契約をしてもらえたなら、
    次にすることは「期待」に応えることです。
    しかし「期待」の本質を見抜かないで簡単に応えてしまうと、せっかくの契約が台無しになってしまいます。
    全身全霊で取り組んだにもかかわらず、クラス経営がうまくいかない教師はこのパターンです。

    「期待」とはエゴの要求です。
    エゴを簡単に言うと、誰もが持っている自己防衛本能が成長とともに形を変えたものです。
    エゴは親の呪縛と結びつき、強力なエネルギーを発して自己防衛だけを考えます。
    「要求を満たしてくれるならいい子でいるよ」、
    「優しくて賢い子どもに育ってくれるならおとなしい保護者でいますよ」という子供と親のエゴがセットとなり、
    強烈なエネルギーを発しています。
    ほとんどの場合、教師はこのエネルギーに圧倒されて、子供たちの心の叫びを聞くことができないのです。

    学校では人間関係の問題がこじれ、いじめや不登校に発展します。
    こじれる原因はグループ化です。
    これは、自分を守るためにエゴのエネルギーを放出し合うなかで結合しておいた方が得策だというエゴの判断です。
    一人になって攻撃されるのではないかという恐怖心からエゴ同盟というグループ化が始まります。

    しかし、厳粛さや「秩序」によって教室や学校で一人になっても安心できる環境をつくると、
    今は誰も攻めてこないとエゴが気を許し、自己防衛のエネルギーが減少します。
    このときが子どもたちの心の叫びを聞き取る最大のチャンスなのです。この声が子どもたちの本心です。
    ほとんどの声が『自分を成長させて!』と叫んでいます。

 「あたり」の状態で記憶が活性化する(2009.12.28)
    厳粛さと「秩序」の力を借りながらも、人(教師)の話を真剣に聞かせることができたなら、
    あとは教師が気迫で現実認識力を最大限に磨き上げ、生活に密着したアカデミックな話をし続けるのです。
    この状態を経験することが「あたり」です。
    ちなみに、ここでいうアカデミックとは、実社会と学習内容が一致した話のことです。
    ただし、ここまで準備してもギャグでウケを狙ったり保身の要素が加わったりすると、
    後になって違う方向(「形式」)へと進んでしまうので要注意です。

    「あたり」を経験している子どもたちに『自ら聞かないといけないな』と自発性を促す方向に持っていくためには、
    しっかりと意味づけをして話をすることです。
    これで「あたり」が心に浸透し定着します。
    さらに、子どもたちの感情に揺らぎをかけることによって子どもたちの記憶が鮮明になります。
    意味づけと感情の揺らぎによって子どもたちの記憶力が向上するのです。
    HRでの話や何気ない対話で後押しすれば、出し入れが自由自在の記憶力となるのです。
    ただし、形式的な面談は効果を下げるので別の話題にしておいてください。

    教科指導も特別活動もまったく同じで、このように取り組めば学習したことをしっかりと記憶していくのです。
    自発的に進んで学習に取り組み始めます。
    このような刺激を刺激として受け入れてもらえる時期が4月です。

    4月は「あたり」の臨界期ともいえます。
    過去のデータによると中学一年なら入学式から2週目と、3週目から最初のテストまで。
    他学年はクラス・担任発表からゴールデンウィークまでです。
    このようにして鮮明になった記憶はネットワーク化していきます。
    1つの事柄をあらゆる角度から考えるという力がついてきます。

    私が共学の中学で1年の担任をしたときのことです。
    4月の3週目までの道徳の授業で『挨拶』、『個性』、『偏見』を、2学期には『多数決』や『運命』などの話をしました。

    当時、スポーツが命で勉強が嫌いな女の子がいました。
    その子はナイーブでプライドも高い子だったのでいろいろと心配していましたが、今や無事に高校3年になりました。
    しかも、今年は成績優秀ということで特待生になったのです。
    その女の子が、当時私が話したこと今でも覚えていて鮮明に話してくれるのです。
    そして、常に実践しているらしいのです。
    また当時のクラスの生徒が集まると、道徳の授業内容やHRでの話が昨日のことのようだと言うのです。
    「あたり」を懐かしんでいるようなのです。

 ●リラックスするので適応力が育つ(2010.1.8)
    さらに、厳粛さや「秩序」はリラックスを生みます。
    身体をリラックスさせる状態を思い出してください。
    手、足、歯にグッと力を入れて、そのあとスーッと緩めるととてもリラックスすることができます。
    その原理なのです。身体も脳(心)も細胞ですから反応も同じはずです。
    脳にα波が出ている状態といっても良いかもしれません。
    つまり人間社会でリラックスするためには意図的な緊張が必要なのです。
    人間はリラックスした状態で物事に適応しやすくなります。
    さらに「期待」のエネルギーが抑制されるという効果もあります。
    驚くことに、ネットワーク化した記憶とリラックスによって適応力が倍増していくのです。
    そして倍増した適応力が、異なる考えの人間を認めるための原動力となり、新しい考えを受け入れ始めます。
    当然ながら、喧嘩はありますが、いじめは無縁です。
    学校に自分の居場所があるから不登校などあり得ません。

    秩序ある教室で、真実を自分の言葉で熱く語る教師に意味をしっかりと伝えられながら、「あたり」を経験した子どもたちは、
    嫌なことや苦手なこともポジティブな気持ちでやり遂げようとします。
    話を聞くことも分担作業も学習も、こともなげにやってしまうのです。

    学習した記憶と感情が、「あたり」を経験することによって感性となり、自分独自の考えが生まれてきます。
    だから生き生きしてくるのです。
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